2011年4月27日水曜日

15. Augustus Pablo

      Iggy Iggy / augustus Pablo

当ブログのTop pageに使われているメロディカ演奏者、Augustus Pablo。
メロディカというと日本の教育では幼児教育、小学校くらいまでの教具として使われる為、どんどん年を取るごとに忘れ去られてしまう楽器というイメージがあると思う。
しかし、Pabloはそのメロディカ一つでジャマイカ音楽に、ひとつのスタイルを作り上げた男である。
生まれは1954年。掲載曲はHerman Chin RoyのAqueriousレーベルからの自身にとってのデビュー曲(1971年)。
Pabloが行っていた学校の同級生にClive Chin(Randy'sのオーナー Vincent Chinの息子)がいたことでChin一族とのつながりが作られたと、様々な資料に書かれている。

冒頭のDJはAqueriousのレコードショップ経営、レーベルのオーナー、そしてDJもやっていたHerman Chin Roy。
この曲はPabloのメロディカも、もちろん力強く美しいのだが、そのメロディカの後ろから聞こえてくるビンギドラムの音が一層、大地に轟き、地を這う、土臭い音に仕上げていると感じる。
この曲のレコーディングスタジオはRandy's。
ということはもしかして、Count Ossieかと勝手に想像しながら聞いている。


2011年4月23日土曜日

14. Early Reggae (Cover)

  
 Message From A Black Man / Derrick Harriott


Derrick Harriottはシンガー兼プロデューサー。
レーベルとしてはCRYSTAL RecordsとMove & Grooveだと思う。
髪型からもそうだが(ドレッドではなくアフロヘア)、
独自の音作りを目論んでいたのだろう。

今回の掲載曲はソウルのCoverではあるが、確実に自分のものとし、かつ、斬新な味付けをしている。
ジャマイカではPrice Buster,HeptonesもCoverしているが断然、Derrick Harriottのやつがかっこいい。
けれども、知ったのはDerrickのが一番遅かった。。。

ジャマイカではCoverが結構多いのだが、確実に原曲越えしているものがたくさんあると感じる。ジャマイカ音楽を愛しているからそう聞こえるのかもしれないが。。。



13. Coxsone

     Sweet Ruby / The Charmers

Coxsoneのレーベル傘下の一つであるRoland & Powieからの一曲。
始まりのトランペット。この音の雰囲気はもちろんRaymond Harper。
間奏も素晴らしい。

そして、歌い手はThe Charmers。
70年代初頭にSPLASHレーベルを立ち上げた、Lloyd CharmersとRoy WillisのDuo。
Lloyd Charmersは70年代のシンガーで知り、後にプロデューサーでもあることを知り、
はたまたHippy Boysのキーボード担当、そして60年代のSkaの時代から活躍していることを知った。
本人名義だと渋いSoulfullな曲が多いし、SPLASHレーベルからのConscious Minds (Lloyd Charmers & B.B.Seaton )も心にグッとくる曲があるので、だいぶ気にしているアーティストの1人。

そのLloyd Charmersが音楽活動をするきっかけとなったのが、50年代(ちなみに本人は1938年生まれ)にキングストンで毎週行われていた素人タレントコンテストの「ヴィア・ジョンズ・オポチュニティ・アワー」
(ヴィア・ジョンズ氏主催の公然オーディションのようなもの。ヴィア・ジョンズという人は素人タレントコンテスト、劇場コンサート、ラジオ番組といった当時のキングストンのエンターテイメントを取り仕切る親分的存在。)
その審査員は観衆(ゲットーの住民)だったという。自分達の反応で評価できるのだから彼らにとっては一週間で一番の楽しみであった。このコンテストで観衆に好ましい印象を与える事ができるとヴィア・ジョンズ氏のラジオ番組に出場できるという特典があった。

このコンテストは相当の影響力があったようで、シンガーを目指す少年、少女はこのコンテストに出続ける事で本当のシンガーになることを夢見ていたのだろう。
事実、このコンテスト出身者を挙げてみると、
Derrick Hariott, Bob Andy, Desmond Dekker, The Wailers, Alton Ellis, Lasell Perkins,
Dobby Dobson, John Holt, Laurel Aitken, Boris Gardiner...。 〈参考文献:Bass Culuture〉

今後掲載したいアーティストの羅列かと見間違うほどである。


2011年4月18日月曜日

12. Roots

   Healing Of  Nation / Jacob Miller

ジャマイカの音楽はSkatailtesから聞き始め、その当時はダンスホールも聞いていたのでダンスホールの曲が聞いてみたくて、Soul Jazzから出ていた"500% DYNAMITE!"を買った記憶がある。
そのLPにHealing Of Nationが収録されていて、この曲がきっかけで70年代のジャマイカ音楽、Reggae、Roots、Dubにまで裾野が広がった。

Jacob Millerは何と言っても声が抜群に良い。伸びやかで力強い。
ジャマイカのスーパースター、Bob Marleyにも同じことが言えると思うのだが、Bobの場合、力強さの裏に、何とも言えぬ切なさ、やるせなさが含まれている声に聞こえる
(あくまで個人的な意見です。そしてその点がBob Marleyの素晴らしい素質だとも思っています)。
その点、Jacob Millerはどこまでも伸びやかで力強い。
歌うことが自分の出来うる最良の自己表現なんだという自負をも感じさせてくれる。

映画、"Roots Rock Reggae"では、自身のバンド、Inner Circleとの"Forward Ever"の楽曲制作の様子が見る事ができる。

ジャマイカ音楽にとって、多大なる貢献をしていくはずのJacob Millerであったが27歳という若さで交通事故で亡くなっている。その交通事故が1980年のできごと。翌年には、Bob Marleyが癌で亡くなる。80年代初頭を境にジャマイカ音楽の歴史の一つの転換期を迎えることになる。


2011年4月16日土曜日

11. Ska

   Rough & Tough / Stranger Cole

Duke ReidプロデュースのSka。

以前も書いたが、Duke Reidはゲットー地区の元警察官。
そんな折に妻が国営の宝くじで、でかい金を手に入れたことがきっかけで警官を辞め、
1950年代初頭に夫婦でリカーショップ「Treasure isle」を始める。
(Dukeは1915年生まれだから35歳前後のことと思われる)
このTreasure isleというネーミングが後の、レコードレーベルともなる。

一方、Stranger ColeといえばDuke Reidのお抱えアーティストの1人。
本名はWilburn Theodore Cole。
Strangerとは親にも兄弟にも似てなく、
家族が"Stranger"と言い始めたのがニックネームとなりStranger Coleとなったということである。ちなみに兄弟や親戚がDukeのもとでセレクターをやっていたこともあり、Dukeは身近な存在だったのだろう。

Rough & Toughは1962年リリースだから、ちょうどジャマイカが独立を果たした年。
Skaの初期はハーモニカSkaがたくさんあり、どうしても似通って聞こえてしまいがちだけどRough & Toughに関しては別格。
間奏のソロ部分も聞き応えがある。
何といってもこの速すぎず、遅すぎずの絶妙なテンポが良い。


2011年4月13日水曜日

10. Coxsone

   World's Fair / Stranger & Ken

CoxsoneのSkaで個人的に1番好きな曲。

Artibellaも演奏がKillerで好きだが、
Wold's Fairの演奏はボーカルにうまく寄り添うように演奏されている感じが良い。

このStranger Cole & Ken Boothe、2人のDuoはSka期だけだと思う。
ちなみにStrangerは1945年生まれ、Kenは1948年。

久しぶりに"BLUE BEAT BOP!"(編集 山名昇氏!!)をめくったら、
ケン(Ken Boothe)とホレス(Horace Andy)がスタジオ・ワン時代を
語るというページがあった。

そのページにKen BootheがStranger Coleとの出会いを語っている部分があったので一部、
抜粋させて頂く。

ーヤツはDuke ReidのTreasure Isleにもう録音していた。俺は学校からの帰り道、よくヤツの家の前を通ったんだよ。
ヤツはそこで歌っていた。俺を家の中に入れてくれたりしてね。そして、少しずつ仲良くなっていった。ふたりで練習して、Duke Reidのところでレコーディングした。
俺たちが街の噂になって、みんなはBlues Bustersと競わせたがっていたんだ。Coxsoneも噂を聞きつけていて、「Duoで吹き込めよ」と言ってきた。ただ、俺らがスタジオ・ワンに出かけていくと、Dukeも来て、Coxsoneに文句を言ったらしい。それで俺は数日後に1人でスタジオ・ワンに録音しに行ったというわけさ。

とても興味深いインタビューである。
まず、仲良くなるきっかけが家の前で歌っているのを見ていてという所が面白い。
ちょっと日本では想像できない。
また、スタジオ・ワンでDuoの録音をしようと思って行ったらDuke Reidが
いちゃもんつけてきたという逸話も面白い。
Duke Reidは元警察官というキャリアを使い、横暴なことをしていたという話がある人なので本当なのだろう。

けれども、World's FairしかりArtibellaだったり、何曲かはちゃんとスタジオ・ワンで
レコーディングされている。
そして、どの曲もTop Ska Tuneである。 

Coxsone DoddとDuke Reidはサウンドシステムでライバル関係であったこともあり、
いかに邪魔してやろうとか、人気を横取りしてやろうとかで結構、むごいこともあったと言われている。

ただ、いい意味での切磋琢磨もあったはずであり、どちらもジャマイカ音楽に貢献した
偉大なる人物だ。


2011年4月10日日曜日

9. Lee Perry

   Baby Lose Burning / Maxie,Niney & Scratch

この3人がクレジットされているものはこの曲以外に知らない。
trkはご存知の「Beat Down Babylon」

頭のVocalの勢いがとても好き&合間に入る稲妻SEが奮い立たせる。


2011年4月9日土曜日

8. Roots Inst

Black out / Augustus pablo

Techniquesレーベルから出ている
Interns / Nothing is impossibleのVersion Cut。

原曲は70年代Rootsの中でも群を抜くKillerな仕上がりだと思っているが
このVersionの音の抜き差しが、また素晴らしい。

ちなみにクレジットが間違っていて、
Its Your Thing / Alton Ellisになっている。

Jamaicaのレコードを収集していると時々、出くわす。

2011年4月7日木曜日

7. Coxsone

Got To Be Sure / Horace Andy

CoxsoneプロデュースのHorace Andyの曲はどれも素晴らしい。
その中でも最も好きな曲。
締まった音に、Horace独特の危うさがある声。

Ska、Rocksteadyの時代が終わり、
Reggaeの時代になってもCoxsoneは独自の感性で素晴らしい音楽を残している。

2011年4月4日月曜日

6. Rocksteady

I am Alright / Gregory Isaacs

全編に響き渡るAugustus Pabloのメロディカに
Gregoryの艶のある声が重なる素晴らしい楽曲。

I'm a pauper
but when it comes to lovin I'm alright
私は貧乏だ。
けれどもあなたを愛する事にかけては大丈夫。
きっと幸せにするから...といったような事が歌われていると解釈している。


2011年4月2日土曜日

5. Roots

   I Man a Grass Hopper / Pablo Moses

Geoffrey ChungプロデュースのJigsawレーベルからの一曲。
ちなみにjigsawレーベルの7inchは2枚しか持っていないが、
内1枚はrecorded at Dynamic studio、
掲載曲はrecorded at Black Ark、
気になり調べてみるとある曲はrecorded at Errol T recording Studio。

色々なStudioで録音したのだろうが、レーベルが目指す音が自分の好みに合っている。

Michael Chungの重いギター、
そしてPablo Mosesの印象的な、朴訥な声が気に入っている。